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心臓リハビリセンター

                                循環器科 福井 純

1)心臓リハビリテーションについて
2)心臓リハビリテーションセンターの紹介
3) 心臓リハビリテーションセンター開設以来の業績


1) 心臓リハビリテーションについて

心臓リハビリテーション(略して心臓リハビリ)というと、脳卒中や整形外科のリハビリのような機能回復訓練で、心臓病の患者さんに対する理学療法、社会復帰訓練と思われるかもしれませんが、実際はそうではありません。
”リハビリテーション”という言葉が入っているために紛らわしいのですが、薬物療法、心臓カテーテル治療、手術療法とならぶ循環器疾患に対する治療法の一つです。しかも、その効果は他の治療法に匹敵し、それぞれの治療法との相加相乗的効果を発揮します。
 現在、心不全・急性心筋梗塞・狭心症・心臓手術後・下肢の動脈閉塞症などの心疾患治療ガイドラインにおいて、「クラスⅠ」として、急性期から慢性維持期まで積極的に施行すべき、”
先進的心血管治療法”として推奨されています。
しかし、全国に心臓カテーテル実施施設が約1200施設あるのに対し、心臓リハビリの実施施設は少なく、認知度はまだ低いのが現状です。

長年に渡り、心臓病発症後は心臓に余分な負担をかけないように労作制限が原則でした。その後、ディコンディショニング<コンディショニング(調節する)の逆で、安静・臥床に伴って、かえって運動能力の低下、心拍数・血圧調節の異常、骨格筋の萎縮などの身体調節機能の異常をきたすこと>の概念の進歩もあり、1970年頃から心臓病に対する運動療法が一部の施設で開始されました。その後、多くの臨床研究のメタ解析の結果、心臓リハビリにより心血管疾患の死亡率が25%以上低下することが明らかになり、1995年に米国公衆衛生局(AHCPR)から”心臓リハビリは生活の質(QOL)を上げて死亡率を下げる”という、医療行為・治療手段としてのガイドラインが初めて発表されました。

これは心臓病の標準的治療薬であるアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やβ遮断薬を上回る効果であり、さらに特筆すべきは薬剤の効果への上乗せ効果が期待できるため、心血管疾患の死亡率を実に50%以上改善できる可能性がある驚異的な予防・治療法であることが明らかとなりました。
心臓カテーテル治療や心臓バイパス手術後への上乗せ効果も同様で、アメリカでは冠動脈バイパス手術後に心臓リハビリを行うと医療費が約半分になるとさえいわれています。また、重症心不全で心臓移植予定待機リスト掲載の方が、心臓リハビリによって待機リストから離脱できた例も報告されているほどです。

心臓リハビリの実際は、心臓リハビリテーション指導士有資格者を主体とした、循環器専門医 看護師 理学療法士 栄養士 薬剤師がチームを組んで、運動療法を中心とした肉体的・精神的機能回復、生活習慣改善(運動指導、食事指導、服薬指導、心理相談)を目指す、総合的なプログラム(包括医療)です。
対象は、循環器疾患全般ですが、なかでも心不全(BNP >80)、狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患、心臓手術術後、血管疾患(下肢動脈閉塞症など)の方が保険診療対象となります。特に多くの心血管疾患によって最終的にもたらされる”心不全”は高齢化とともに近年急増し、入退院をくり返すため現在最も治療戦略の進展が望まれており、この対策としての心臓リハビリへの期待は極めて大きいといえます。

しかし、むやみに運動をすればいいという訳ではありません。
基礎的身体能力、心機能、動脈硬化危険因子などの評価の後、呼気ガス分析下に心肺運動負荷試験(CPX)を行い最大運動能力とともに嫌気性代謝閾値(AT:有酸素運動から無酸素運動へ移行するポイント)を測定します。その結果に基づいて”運動処方”を行います。
運動処方とは、薬の処方箋と同様に、個々の患者さんに応じた安全な運動の強さ・時間・頻度を処方します。

次に心臓リハビリの持つ様々な効果をご説明します。
1)手足が温かくなる( 血管内皮機能の改善、血管拡張反応の改善)
2)動脈硬化の改善(抗炎症、抗酸化作用、骨格筋の糖・脂質代謝の改善)
3)不整脈が減り、血圧の変動が減る(自律神経機能の改善)
4)第2の心臓[下肢筋力]がしっかりなることによる心臓への負担の軽減
5)骨折の予防(骨吸収抑制、骨形成促進、転倒予防)
6)血液の流れがよくなる(血液粘稠度上昇の軽減、抗虚血作用)
7)血管が太くなる(動脈硬化の退縮/数年を要する)
8)心臓自体の改善(心機能の改善/数ヶ月を要する)
9)気分が晴れやかになる(脳内エンドルフィンの放出促進、抗うつ作用)

などの効果の他、生活指導による動脈硬化危険因子の改善、生活習慣病の改善効果も加わります。
わかりやすく説明しますと、運動にともない血管内皮から血管を拡げる物質(一酸化窒素:NO)が出てきます。2週間くらいまでに血管が太くなって血液が流れやすくなり、さらに”第2の心臓”といわれる、ふくらはぎや太ももの骨格筋ポンプがしっかりしてきます。この結果、心臓から血液が出やすくなり心臓の負担が軽くなります。

数ヶ月たつと、心臓の働き(心機能)が改善してきます。 また、自律神経の安定化作用により、不整脈の減少、血圧の安定、精神的安定も得られます。
すなわち、心臓リハビリは単なる”体力回復訓練”ではなく、”多面的な心臓血管保護効果を有する心血管病の包括的治療法”であり、心臓病の再発予防と生活の質の改善・長期予後の改善をもたらします。



2) 心臓リハビリテーションセンターの紹介

当院では2012年10月に県北初の心臓リハビリセンターを開設しました。
南病棟1階の心血管造影室の隣に位置し、月曜日から金曜日の13.30〜15.30の間オープンし、毎週水曜日午前中に心臓リハビリ外来を開いています。

息切れなどの自覚症状の改善、狭心発作の減少、再入院率の減少、不整脈の減少などにとどまらず、なんと言っても多くの患者さんが自信を取り戻し、笑顔で生き生きとした生活へ戻ることが可能となり、心リハセンター開設後、約30%の心不全再入院の減少をみています。

点滴から離脱できない時期の患者さんに対しては、専門の理学療法士がベッド上あるいはベッドサイドで心臓リハビリを開始し、下肢筋力が著しく低下している方には、アシストエルゴメーターという能動的に回るエルゴメーターで下肢のリハビリを開始することもあります。
センターでは、 メディカルチェック、準備運動・ストレッチ体操の後、運動処方に従った自転車エルゴメーターによる運動を行い、レジスタンストレーニング、整理運動、メディカルチェックの順で、約1時間半のコースで行います。

また月曜日から金曜日まで ”心臓病の食事療法” ”運動療法” ”心臓病の薬物療法” ”心臓病の検査”について、それぞれの専門分野の講師による少人数での講習会を開いています。入院中の方の心臓リハビリは毎日(月〜金)、外来の方は都合に合わせて週1〜2回行います。

入院中に心臓リハビリを受けられた方には、退院時に日常生活における在宅心臓リハビリについて指導します。日常生活における活動の程度、運動の種類・頻度・強度についての指導の他、食事・服薬の指導を行います。通院リハビリが可能な方には、通院リハビリをお勧めしています。
主な設備は、準備運動・ストレッチゾーン、セルフチェックゾーン、血圧・心電図モニター下の自転車エルゴメーター8台、
ランプ負荷用 Strength Ergo 8、呼気ガス分析装置(Cpex-1)、レジスタンス負荷マシーン1台、指導教育を行うゾーン、スタッフカンファレンス室、ロッカールーム、トイレなどから構成されます(写真参照)。


         心臓リハビリテーションセンター(アプローチと受付


                  心臓リハビリテーション風景


            左:心肺運動負荷試験(CPX)  右:カンファランス室


  左:レジスタンス負荷(マルチファンクション5X) 右:多職種恊働カンファランス


            コメディカルによる 左:集団指導  右:個別指導

循環器科の診療目的は、患者さんの症状の改善、生命予後の改善のみでなく、いかに、生活の質を維持するか、つまり健康寿命を延長するかにあります。急性期の心不全が安定して日常生活が可能になったり、ステントで狭い血管を広げて狭心症が軽快した時点がゴールではありません。
自信をもって安心して日常生活をおくることが可能となり、また体のあちこちにある動脈硬化性の変化(粥腫:プラーク)が安定して更に悪化しないようにして、新たな発作を起こさないことが究極の目標となります。
このために、心臓リハビリは有力な手段となります。患者さんの”生き生きとした生活”の一助となるよう スタッフ一同努力したいと思います。




3)心臓リハビリテーションセンター開設以来の業績

1) 心臓リハビリテーションが奏功した高度心機能障害例
看護部 小畑久美子 (心臓リハビリテーション指導士)
2012.9 第6回 九州心臓リハビリテーション研究会 大分
2012.11 第43回 県北循環器懇話会 佐世保

2) 一般の健康運動教室における運動強度の評価
リハビリテーション科 野中慎也 (心臓リハビリテーション指導士)
2013.9 第7回 九州心臓リハビリテーション研究会 福岡

3) 当病院での心臓リハビリテーションセンター立ち上げと活動状況
看護部 小畑久美子 (心臓リハビリテーション指導士)
2013.9 第7回 九州心臓リハビリテーション研究会 大分
2014.3 第7回 長崎心臓リハビリテーション研究会 佐世保

4) 心臓リハビリテーションにおける減塩指導の取り組み
栄養科 上田舞 (管理栄養士)
2014.9 第8回 九州心臓リハビリテーション研究会 沖縄

5) 当院での心臓リハビリテーションセンター立ち上げと活動状況
看護部 小畑久美子 (心臓リハビリテーション指導士)
2015.4 第79回 日本循環器学会 大阪
2015.7 第21回 日本リハビリテーション学会総会 福岡

6) 心臓リハビリテーションにおける栄養指導の取り組み
栄養科 上田舞 (管理栄養士)
2015.7 第21回 日本心臓リハビリテーション学会総会 福岡

7) 心臓リハビリテーションの効果の評価
                   -基礎体力による検討-
リハビリテーション科 山口亘 (心臓リハビリテーション指導士)
2015.7 第21回 日本心臓リハビリテーション学会総会 福岡

8) 心臓リハビリテーションの効果の評価
            -心肺負荷試験(CPX)による検討-
検査科 横田浩一 (心臓リハビリテーション指導士)
2015.7 第21回 日本心臓リハビリテーション学会総会 福岡

9) 心臓リハビリテーションの効果の評価
    -生理検査・UCG・血液生化学検査による検討-
検査科 横田浩一 (心臓リハビリテーション指導士)
2015.7 第21回 日本心臓リハビリテーション学会総会 福岡

10) 慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するBPA療法後に心臓リハビリを施行した1例
看護部 小畑久美子 (心臓リハビリテーション指導士)
2015.10 第1回 日本心臓リハビリテーション学会九州地方会
2015.11 第49回 県北循環器懇話会 佐世保

11) 自己管理の理解度に及ぼす看護面談の効果
看護部 小畑久美子 (心臓リハビリテーション指導士)
2016.3 第10回 長崎心臓リハビリテーション研究会 佐世保

12) 慢性腎臓病(CKD)に対する心臓リハビリテーションの影響
検査科 横田浩一 (心臓リハビリテーション指導士)
2016.7 第22回 日本心臓リハビリテーション学会総会 東京

13) サルコペニアに対する心臓リハビリテーションの効果
リハビリテーション科 野中慎也 (心臓リハビリテーション指導士)
2016.7 第22回 日本心臓リハビリテーション学会総会 東京

14) 心臓リハビリーテーション施行中の急変時に備えた取り組み
検査科 川久保由美子 (心臓リハビリーテーション指導士)
2016.10 第2回 日本心臓リハビリテーション学会 九州地方会 福岡

15) 下肢レジスタンストレーニングの項目変更の評価について
リハビリテーション科 山口亘 (心臓リハビリーテーション指導士)
2017.7 第23回 日本心臓リハビリテーション学会総会 岐阜

16) 多職種が関与する心臓リハビリテーションにおける急変対応
検査科 川久保由美子 (心臓リハビリーテーション指導士)
2017.7 第23回 日本心臓リハビリテーション学会総会 岐阜

17) 心臓リハビリセンター開設からの4年間を振り返って
看護部 小畑久美子 (心臓リハビリテーション指導士)
2017.7 第23回 日本心臓リハビリテーション学会総会 岐阜

18) 減塩努力と減塩効果の乖離に関する検討
栄養科 上田舞 (管理栄養士)
2017.7 第23回 日本心臓リハビリテーション学会総会 岐阜

19) 循環器外来患者の栄養状態とフレイルに関する検討
看護部 小畑久美子 (心臓リハビリテーション指導士)
2017.10 第3回 日本心臓リハビリテーション学会 九州地方会 鹿児島

20) 多職種が関与する心臓リハビリテーションにおける急変対応
検査科 川久保由美子 (心臓リハビリテーション指導士)
2017.11 県北循環器懇話会 佐世保

21) 心臓リハビリが運動耐容能へ及ぼす要因の検討
検査科 横田浩一 (心臓リハビリテーション指導士)
2018.7 第24回 日本心臓リハビリテーション学会総会 横浜

22) 心臓リハビリと在宅酸素による換気応答の改善を認めた拡張心筋症による心不全
検査科 横田浩一 (心臓リハビリテーション指導士)
2018.10 第4回 日本心臓リハビリテーション学会 九州地方会 福岡

23) 地域中核病院の循環器外来におけるフレイルの現状と対策(続報)
看護部 小畑久美子 (心臓リハビリテーション指導士)
2018.10 第4回 日本心臓リハビリテーション学会 九州地方会 福岡

24) 地域中核病院の循環器外来におけるフレイルの現状と経年的評価
看護部 山本慎一郎 (心臓リハビリテーション指導士)
2019.7 第25回 日本心臓リハビリテーション学会 大阪

25) 心臓リハビリテーション施行中の急変時に備えた取り組み
検査科 川久保由美子 (心臓リハビリテーション指導士)
2019.9 第27回 長崎県救急医学会 佐世保

26) 医療過疎地域における救急搬送患者の実態調査
看護部 山本慎一郎 (心臓リハビリテーション指導士)
2019.10 第5回 日本心臓リハビリテーション学会 九州地方会 長崎

27) 介護基本チェックリストとフレイル・栄養状態の関係
看護部 山本慎一郎 (心臓リハビリテーション指導士)
2019.10 第5回 日本心臓リハビリテーション学会 九州地方会 長崎

28) 外来心リハと外来ハンプ療法が有効であった超高齢心不全の1例
リハビリテーション科 山口亘 (心臓リハビリテーション指導士)
2019.10 第5回 日本心臓リハビリテーション学会 九州地方会 長崎

29) 介護基本チェックリストとフレイル・栄養状態の関係
看護部 山本慎一郎 (心臓リハビリテーション指導士)
2019.11 県北循環器懇話会 佐世保

30) 心臓リハビリテーションについて
看護部 小畑久美子 (心臓リハビリテーション指導士)
リハビリテーション科 山口亘 (心臓リハビリテーション指導士)
2020.1 吉井包括ケア会議 吉井ソレイユ

31) 介護基本チェックリストとフレイル・栄養状態の関係
看護部 山本慎一郎 (心臓リハビリテーション指導士)
2020.7.18 第26回 日本心臓リハビリテーション学会 WEB

32) 医療過疎地域における救急搬送患者の実態調査
看護部 小畑久美子 (心臓リハビリテーション指導士)
2020.7.18 第26回 日本心臓リハビリテーション学会 WEB

33) コロナ禍が高齢者のフレイル栄養状態に及ぼす影響
看護部 山本慎一郎 (心臓リハビリーテーション指導士)
2020.11 第6回 日本心臓リハビリテーション学会 九州地方会 WEB
2021.2 第15回 長崎心臓リハビリテーション研究会 長崎大学(WEB)

34) コロナ禍が高齢者のフレイル栄養状態に及ぼす影響
リハビリテーション科 山口亘 (心臓リハビリーテーション指導士)
2021.6 第27回 日本心臓リハビリテーション学会 千葉(WEB)

35) サルコペニアの1例
リハビリテーション科 野中慎也 (心臓リハビリーテーション指導士)
2021.6 第27回 日本心臓リハビリテーション学会 千葉(WEB)

36) コロナ禍における在宅心リハの重要性
リハビリテーション科 野中慎也 (心臓リハビリーテーション指導士)
2021.11 第7回 日本心臓リハビリテーション学会 九州地方会 WEB

37) ~在宅心リハ指導後のKCL経年比較~
看護部 山本慎一郎 (心臓リハビリーテーション指導士)
2021.11 第7回 日本心臓リハビリテーション学会 九州地方会 WEB

38) 心不全療養指導士を取得して見えてきた課題
看護部 小畑久美子 (心臓リハビリーテーション指導士)
2022.1 心不全療養指導士を繋ぐ会 WEB

39) コロナ禍における在宅心リハの重要性
看護部 小畑久美子 (心臓リハビリーテーション指導士)
2022.6 第28回 日本心臓リハビリテーション学会 ジョンセンター

40) ~在宅心リハ指導後のKCL経年比較~
看護部 山本慎一郎 (心臓リハビリーテーション指導士)

41) 効果的な心リハカンファレンスを目指して
看護部 小畑久美子 (心臓リハビリーテーション指導士)

 
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